体臭って何?体からにおいが発生する仕組みと原因を解説
体臭が発生する仕組みを、汗や皮脂、皮膚の常在菌の働きから解説。部位によるにおいの違いや、体臭に個人差が生まれる理由、日常でできる対策、急な変化に注意したいポイントも紹介します。
体臭とは、本記事では口臭を除き、主に皮膚から発生する体のにおいを指します。体臭が発生する仕組みは一つではありません。汗や皮脂に含まれる成分が皮膚の常在菌によって分解・変化したり、皮脂に含まれる成分が化学反応を起こしたりすることで、においの原因となる物質が生まれます。
また、体臭の強さや種類には、汗や皮脂の分泌量、皮膚にすむ微生物の種類や働き、年齢、遺伝的な体質など、さまざまな要因が関係しています。
この記事では、体臭が発生する仕組みや、脇・頭皮・足などの部位による違い、体臭に個人差が生まれる理由について解説します。
体臭はどのように発生する?
体臭は、汗や皮脂に含まれる成分が皮膚の上で変化することなどによって発生します。主な仕組みは、皮膚の常在菌による成分の分解と、皮脂に含まれる成分の化学反応です。このほか、食事や体内の状態も、汗などを通じて皮膚から放出される物質に影響することがあります。
1. 汗や皮脂の成分が皮膚の常在菌によって分解される
皮膚には、細菌などの微生物がすみついています。これらは皮膚の常在菌と呼ばれ、皮膚の健康を保つうえでも重要な役割を担っています。
一方、一部の常在菌は、汗や皮脂に含まれる成分を分解し、においのある物質を作り出します。こうして生まれた物質が、体臭の原因になることがあります。
汗には、エクリン汗腺から分泌される汗と、アポクリン汗腺から分泌される汗があります。エクリン汗腺の汗は主に水分と塩分からなり、分泌された直後は強いにおいを持ちません。ただし、エクリン汗腺の汗も、皮膚の上で常在菌によって成分が変化すると、においの原因になることがあります。
一方、アポクリン汗腺の分泌物には、たんぱく質や脂質などの有機成分が含まれています。こうした成分が皮膚の微生物によって分解されると、においの原因となる物質が生まれます。
つまり、汗や皮脂が分泌されたあと、皮膚の上で成分が変化することが、体臭の原因の一つになります。汗そのものが強いにおいを持つとは限りません。
2. 皮脂に含まれる成分が化学反応によって変化する
皮脂は、皮脂腺から分泌される脂質を主成分とする物質です。皮膚の表面を覆い、乾燥を防ぐ役割があります。
皮脂に含まれる成分は、化学反応によって別の物質に変化することがあり、その過程でにおいの原因となる物質が生じる場合があります。皮膚の微生物の働きを介さなくても、においのある物質が生じる経路があります。
このように、体臭は常在菌の働きだけで説明できるものではありません。皮脂に含まれる成分そのものの性質や、皮膚の表面で起こる化学反応も関係しています。
3. 体内の状態や食事も、においに影響することがある
体臭には、皮膚の表面で起こる変化だけでなく、体内の状態も関係することがあります。
例えば、食事で摂取した成分の一部は、体内で代謝されたあと、汗などを通じて皮膚から放出されることがあります。その成分や量によっては、体臭に影響する可能性があります。
また、ホルモンの変化や服用している薬などが、汗や皮脂の分泌、体臭の強さや質に影響することもあります。ただし、特定の食べ物を食べたことや体調の変化だけで、体臭の変化を一律に説明できるわけではありません。
体の部位によって、においの発生する仕組みは違う
体臭は、体のどこから発生するかによって、関係する成分や微生物、においの特徴が異なります。ここでは、脇・頭皮・足を例に、それぞれの特徴を見ていきます。
脇:アポクリン汗腺の分泌物と皮膚の常在菌が関係する
脇には、エクリン汗腺に加えてアポクリン汗腺も分布しています。アポクリン汗腺の分泌物には、皮膚の微生物が利用できる有機成分が含まれています。
脇の皮膚にすむ一部の細菌は、汗に含まれる成分やその前駆物質を変化させ、においのある物質を作り出します。こうした微生物の働きが、脇の体臭に関係しています。
ただし、アポクリン汗腺の分泌物が出れば必ず強いにおいが生じるわけではありません。実際のにおいは、分泌物の成分や皮膚の微生物の種類・働きなど、複数の要因によって変わります。
頭皮:皮脂や脂質の変化、皮膚の微生物などが関係する可能性がある
頭皮には皮脂腺が多く分布しており、皮脂が分泌されています。頭皮のにおいには、皮脂に含まれる成分の変化や、皮膚の微生物などが関係している可能性があります。
ただし、頭皮のにおいが発生する仕組みについては、まだ十分に解明されていない部分もあります。皮脂の量だけでなく、皮膚の状態や微生物の働きなど、複数の要因が関係すると考えられます。
そのため、頭皮のにおいを単純に「皮脂が多いから」「菌が増えたから」と、一つの原因だけで説明することはできません。
頭皮のにおいの仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
足:汗に含まれる成分を細菌が分解し、におい成分を作り出す
足の裏は汗をかきやすく、靴や靴下によって湿気がこもりやすい部位です。
汗に含まれるロイシンというアミノ酸を皮膚の常在菌が分解すると、イソ吉草酸(いそきっそうさん)というにおい成分が生じることがあります。足のにおいに関する研究でも、こうした細菌の働きとにおい成分の関係が報告されています。
靴の中で湿気がこもると、足の皮膚が蒸れやすくなります。足のにおいには、汗や皮膚の成分だけでなく、靴や靴下の環境も関係します。
足のにおいの仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
体臭の強さや種類に個人差があるのはなぜ?
体臭には個人差があります。同じように汗をかいていても、においの強さや種類が異なるのは、汗や皮脂の成分、皮膚の微生物、遺伝的な体質、年齢などの条件が人によって違うためです。
汗や皮脂の量だけでは決まらない
汗や皮脂の分泌量は、体臭に関係する要因の一つです。ただし、汗を多くかく人ほど必ず体臭が強くなるわけではありません。
においの発生には、汗や皮脂にどのような成分が含まれているか、それらを皮膚の微生物がどのように変化させるかも関係しています。そのため、汗の量だけで体臭の強さを判断することはできません。
遺伝的な体質も関係する
体臭には、生まれ持った遺伝的な体質も関係しています。その一例が、ABCC11(という遺伝子です。ABCC11遺伝子は第16番染色体にあり、わきの下のにおいに関係する成分の分泌に影響します。
この遺伝子のタイプは、ワキガ(腋臭症)になりやすい体質や、耳あかが湿ったタイプか乾燥したタイプかに関係しています。一般に、乾燥した耳あかになるタイプでは、わきの下のにおいに関係する成分が少ない傾向があります。
ただし、体臭の強さや種類はABCC11遺伝子だけで決まるわけではありません。汗や皮脂の状態、皮膚の常在菌など、ほかの要因も関係しています。
年齢や体調などによっても変化する
体臭は、年齢や体調、生活環境などによって変化することがあります。年齢に伴う皮脂の成分や分泌量の変化、ホルモンの変化、服用している薬などが、体臭の強さや質に影響する場合があります。
また、気温や湿度、衣服の通気性なども、汗の量や皮膚の蒸れやすさに関係します。体臭は一つの要因だけで決まるのではなく、さまざまな条件が重なって変化します。
年齢のにおいの仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
体臭が急に変わったときはどうすればよい?
体臭が急に変わり、その状態が続く場合や、ほかの体調の変化もある場合は、医療機関に相談しましょう。においの変化だけで病気があるとは限りませんが、病気が関係している場合もあります。
体臭の変化に気づいたときは、いつから変化したのか、どの部位で気になるのか、食事や生活習慣、服用している薬などに変化がなかったかを振り返ると、原因を考える手がかりになります。
日常でできる体臭対策
日常的な体臭が気になる場合は、汗を拭き取る、衣服を清潔に保つ、蒸れにくい服装を選ぶといった工夫が役立ちます。こうした対策は、皮膚の表面に汗や成分がたまることや、衣服の中に湿気がこもることを抑える助けになります。
ただし、体臭は清潔さだけで決まるものではありません。日常的な対策を続けても気になる場合や、においが急に変わった場合は、必要に応じて医療機関に相談しましょう。
まとめ
体臭は、汗や皮脂に含まれる成分が皮膚の常在菌によって分解・変化したり、皮脂に含まれる成分が化学反応を起こしたりすることで発生します。食事や体内の状態も、汗などを通じて皮膚から放出される物質に影響することがあります。
脇・頭皮・足では、においに関係する成分や発生の仕組みが異なります。また、体臭の強さや種類には、汗や皮脂の量だけでなく、皮膚の微生物、遺伝的な体質、年齢や体調なども関係します。
体臭は一つの原因だけで決まるものではありません。においの仕組みを知ることは、自分の体臭を理解し、必要に応じて適切な対策を考える手がかりになります。
よくある質問
- 体臭は不衛生が原因ですか?
- 体を清潔に保つことは、汗や皮脂、皮膚の表面にある成分を取り除き、においを抑えるうえで役立ちます。ただし、体臭は遺伝的な体質や汗・皮脂の成分、皮膚の微生物など、複数の要因によって発生します。そのため、体臭があることが、そのまま不衛生であることを意味するわけではありません。
- 口臭は体臭に含まれますか?
- 広い意味では、口から発生するにおいも体から発するにおいの一つと考えられます。ただし、口臭は口の中の細菌や唾液の状態など、皮膚から発生する体臭とは異なる仕組みが関係します。この記事では、口臭を除き、主に皮膚から発生する体臭を扱っています。
参考文献・出典
- James AG, Austin CJ, Cox DS, Taylor D, Calvert R. Microbiological and biochemical origins of human axillary odour. FEMS Microbiology Ecology. 2013;83(3):527–540. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23278215/
- Zung JL, McBride CS. Sebaceous origins of human odor. Current Biology. 2025;35(8):R303–R313. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40262540/
- Cleveland Clinic. Body Odor: Causes, Changes, Underlying Diseases & Treatment. https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/17865-body-odor
- Martin A, Saathoff M, Kuhn F, Max H, Terstegen L, Natsch A. A functional ABCC11 allele is essential in the biochemical formation of human axillary odor. Journal of Investigative Dermatology. 2010;130(2):529–540. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19710689/
- Ara K, Hama M, Akiba S, et al. Foot odor due to microbial metabolism and its control. Canadian Journal of Microbiology. 2006;52(4):357–364. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16699586/
運営・編集:におい展実行委員会
世界一くさい缶詰で全国を騒がせた「におい展」。全国各地を巡回中。累計40万人を動員。