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秋の汗は夏より臭い?においが気になるときに考えられる理由と対策

秋になると汗のにおいが気になるのはなぜ?秋の汗が夏より臭いとは一概にいえない理由を、汗の成分や皮膚の微生物、季節による発汗の変化、衣類との関係から科学的に解説します。

夏が終わって涼しくなってきたのに、汗をかいたときのにおいが気になることがあります。「秋の汗は夏より臭いのでは?」と感じる人もいるかもしれません。

ただし、秋の汗そのものが夏の汗より臭いと一律にいえるわけではありません。汗のにおいは、汗そのものだけで決まるのではなく、汗や皮脂などの成分が皮膚表面の微生物によって変化することや、汗を吸収した衣類など、複数の要因が関係しています。

秋は夏に比べて気温が下がりますが、日中はまだ暑い日もあり、運動や衣類などによって汗をかくことがあります。また、発汗のしやすさも季節に合わせて変わっていきます。

この記事では、秋の汗のにおいが気になるときに考えられる要因を、汗腺の働きや皮膚の微生物、季節による発汗の変化、衣類との関係から解説します。

秋の汗が気になるとき、何がにおいに関係する?

秋の汗だけが特別ににおうというわけではありません。汗のにおいが気になるかどうかには、汗の量だけでなく、汗や皮脂などの成分、皮膚表面の微生物、汗を吸収した衣類などが関係します。

そもそも、体温調節のために全身から出るエクリン汗(かん)は、水分と電解質(ナトリウムなどの塩分)を主成分とする汗で、出た直後は基本的に強いにおいを持ちません。一方、わきなどにあるアポクリン腺の分泌物には、においのもとになる前駆物質が含まれています。

これらの成分が皮膚にいる微生物によって分解・変換されることで、揮発性(空気中に移りやすい性質)のにおい物質が生じます。つまり、汗のにおいは「汗が出たからそのままにおう」のではなく、汗や皮脂などの成分と皮膚の微生物が関係して生まれるものです。

汗のにおいは「汗そのもの」から生まれるわけではない

エクリン汗は主に体温調節のために出る

エクリン腺はほぼ全身の皮膚に分布し、暑いときや運動時、精神的な緊張などによって汗を分泌します。汗に含まれる水分が皮膚から蒸発するときに熱を奪うことで、体温の上昇を抑えます。

エクリン汗には水分や電解質のほか、乳酸やアミノ酸などさまざまな成分が含まれています。出たばかりのエクリン汗は、一般に強いにおいを持ちません。

わきのにおいにはアポクリン腺も関係する

アポクリン腺は、わきや外陰部など特定の部位に分布する汗腺です。思春期以降に性ホルモンの影響を受けて分泌が活発になります。

アポクリン腺の分泌物には、においのもとになる前駆物質が含まれています。これらが皮膚表面の細菌によって分解されることで、においの原因となる物質が生じ、特徴的な体臭につながります。

そのため、汗のにおいを考えるときには、汗腺から出る分泌物だけでなく、皮膚表面の微生物との組み合わせを見る必要があります。

秋になると汗の量はどう変わる?

気温が下がれば、暑い環境で体温を調節するための発汗は必要性が低くなります。また、研究では季節による発汗機能の違いも報告されています。

たとえば、韓国の健康な成人を対象にした研究では、夏(2012年7月)と冬(2013年1月)の季節順化後に発汗機能を調べたところ、冬のほうが発汗開始までの時間が長く、薬剤刺激で誘発した発汗の量も少なくなりました。

ただし、この研究では、薬剤(アセチルコリン)で発汗を誘発するQSART(定量的軸索反射性発汗試験)という検査で発汗機能を測定しています。日常生活で秋にどの程度汗をかくかを直接調べた研究ではありません。

また、健康な成人を対象とした系統的レビューでは、夏の暑熱順化(暑い環境に繰り返しさらされることで体が適応すること)の後に発汗量が増加した研究が複数報告されています。ただし、対象研究の多くは健康な男性を対象としており、すべての研究で同じ結果が得られたわけではありません。屋外で暑さにさらされた時間や運動の強度などによって、適応の大きさにも違いがみられました。

したがって、秋に汗がどの程度減るかは、季節だけで一律に決まるものではありません。今回確認した研究からは、秋に入ってから発汗量がどのくらいの速さで変化するのかまでは分かっていません。

秋の汗のにおいが気になる場面では、衣類も関係する

汗のにおいは皮膚だけでなく、汗を吸収した衣類から感じることもあります。

特に運動時に着用するスポーツウェアについて調べたレビューでは、肌に近い衣類が汗を吸収すると、汗や皮膚由来の成分、皮膚の微生物などが衣類に移り、衣類自体がにおいの発生源になることが説明されています。衣類の素材によって、においの残りやすさにも違いがあります。

これはスポーツウェアを対象とした研究であり、すべての日常衣類にそのまま当てはまるとは限りません。ただ、汗を吸収した衣類からにおいを感じることがあるという点は、秋の汗のにおいを考えるうえでも参考になります。

そのため、秋に汗のにおいが気になる場合は、体から出るにおいだけでなく、汗を吸収した衣類から感じている可能性も考えられます。

秋の汗のにおいを抑えるには?

汗のにおいには複数の要因が関係するため、すべての人に共通する確実な対策が確立しているわけではありません。そのうえで、汗や皮膚由来の成分を長時間残さないことは、においを抑えるための方法のひとつです。

  • 汗をかいたら、可能な範囲でタオルなどで拭き取る
  • 汗で湿った衣類を長時間着続けない
  • 入浴や洗浄によって汗や皮脂を落とし、皮膚を清潔に保つ
  • 汗や湿気がこもりにくい服装を選ぶ

日本皮膚科学会は、腋臭症(えきしゅうしょう)について、皮膚表面の細菌を減らすために洗浄などでわきを清潔に保つことを予防法のひとつとして説明しています。ただし、これは腋臭症についての説明であり、一般的な秋の汗のにおいすべてに同じ効果があると示したものではありません。

また、体臭全般については、においの原因や状態がさまざまで、対策について統一されたエビデンスに基づく指針が十分に確立しているわけではありません。入浴や制汗などは、においを一時的に抑えたり軽減したりする対症的な方法として扱われています。

秋の汗のにおいには個人差がある

汗のにおいの強さには大きな個人差があります。汗腺の分布や活動、皮膚の微生物の構成、皮脂などの分泌、衣類の素材や状態など、さまざまな要因が関係するためです。

特にわきのにおいにはアポクリン腺が関係し、腋臭症ではアポクリン腺が大きく、数も多く、分泌量が多い傾向があります。また、腋臭症には遺伝的な要因も関係するとされています。

そのため、同じ気温や同じ量の汗でも、においの感じ方や強さが同じになるとは限りません。「秋だから汗がにおう」と季節だけを原因と考えるよりも、自分がどのような場面で汗をかき、どこからにおいを感じているのかを確認することが大切です。

急に汗のにおいが変わったときは?

汗のにおいは体質や環境によって変化しますが、それまでと比べて急ににおいが変わった場合や、ほかの体調変化を伴う場合、においが強く気になって日常生活に支障がある場合は、医療機関への相談を検討してください。

体臭の変化には、皮膚の状態だけでなく、さまざまな身体的な要因が関係することがあります。気になる変化が続く場合は、皮膚科などの医療機関で相談するとよいでしょう。

まとめ

秋の汗が夏の汗より特別ににおうと決まっているわけではありません。汗のにおいは、汗の量だけでなく、汗や皮脂などの成分が皮膚表面の微生物によって変化することや、汗を吸収した衣類など、複数の要因によって生まれます。

季節によって発汗機能は変化しますが、秋の日常生活でどの程度汗をかくかは、気温だけでなく、運動や環境、衣類などにも左右されます。また、今回確認した研究では、秋に入ってから発汗量がどのような速さで変化するのかや、秋の汗が夏よりにおうことまでは確認されていません。

秋に汗のにおいが気になる場合は、「秋だから汗がにおう」と考えるのではなく、汗をかいた状況、皮膚の状態、衣類の状態などを分けて考えると原因を整理しやすくなります。においの感じ方や強さには個人差があり、急な変化や強い悩みがある場合は、医療機関への相談も選択肢になります。

  • 秋の汗は夏の汗よりにおいますか?
  • 秋の汗そのものが夏の汗よりにおうとは一律にいえません。汗のにおいは汗の量だけでなく、汗や皮脂などの成分、皮膚の微生物、衣類など複数の要因によって変わります。また、においの強さには個人差があります。
  • 汗をあまりかいていないのに、におうのはなぜですか?
  • 汗のにおいは汗の量だけで決まるわけではありません。少量の汗でも、汗や皮脂などの成分が皮膚の微生物によって変化したり、汗を吸収した衣類ににおいが残ったりすることで、においを感じることがあります。
  • 秋になると汗をかきにくくなりますか?
  • 気温が下がると、暑い環境で体温を調節するための発汗は必要性が低くなります。また、研究では夏と冬で発汗機能に違いがみられています。ただし、秋の日常生活での発汗量は、気温だけでなく運動や環境などにも左右されます。
  • 汗を拭けば、汗のにおいは防げますか?
  • 汗や皮脂などを長時間皮膚に残さないことは、においを抑えるための方法のひとつです。ただし、体臭には皮膚の微生物や衣類など複数の要因が関係するため、汗を拭くだけで必ず防げるわけではありません。
  • 秋になって急に汗のにおいが変わった場合はどうすればよいですか?
  • においには体質や環境による個人差があります。それまでと比べて急ににおいが変わった場合や、ほかの体調変化を伴う場合、においが強く気になって日常生活に支障がある場合は、皮膚科などの医療機関への相談を検討してください。

参考文献・出典

  1. 公益社団法人日本皮膚科学会「汗の病気―多汗症と無汗症― Q5」 https://qa.dermatol.or.jp/qa32/q05.html
  2. Mogilnicka I, Bogucki P, Ufnal M. Microbiota and Malodor—Etiology and Management. International Journal of Molecular Sciences. 2020;21(8):2886. https://doi.org/10.3390/ijms21082886
  3. Shin YO, Lee JB, Kim JH. Seasonal acclimation in sudomotor function evaluated by QSART in healthy humans. Korean Journal of Physiology and Pharmacology. 2016;20(5):499-505. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27610036/
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