衣替えした服が臭いのはなぜ?収納中に何が起きている?
衣替えした服が臭うのはなぜ?収納前の汗や皮脂、微生物、洗濯・乾燥、収納中の湿気やカビなど、衣類の臭いが発生する原因を科学的に解説。臭いを防ぐための収納前の対策も紹介します。
衣替えをして、久しぶりに出した服から嫌な「臭い」がすることがあります。洗ってからしまったはずなのに臭うと、「収納している間に何か起きたのでは?」と気になる人も多いでしょう。
衣替えした服の臭いには、収納前に残っていた汗や皮脂、衣類に残る微生物、洗濯や乾燥の条件、収納中の湿気、カビ、収納環境など、いくつかの要因が関係することがあります。そのため、臭いの原因は収納中だけにあるとは限らず、収納する前の状態や洗濯・乾燥の条件も影響します。
衣替えした服が臭う主な理由
衣替えした服が臭う理由は一つではありません。主に、次のようなことが考えられます。
- 収納前に汗や皮脂などが衣類に残っていた
- 衣類に残った微生物が臭いに関係している
- 洗濯後の乾燥が不十分で、衣類が湿った状態に長く置かれていた
- 洗濯機内の微生物などが洗濯中に衣類へ移ることがある
- 収納中に湿気がこもり、微生物やカビが増殖・生育しやすい環境になった
- 収納場所や収納用品の状態が衣類の臭いに影響した
衣類の臭いは、着ている間に付いたものだけで決まるわけではありません。衣類に付着した微生物や、洗濯・乾燥の方法、素材、保管環境など、さまざまな条件が関係します。
収納中の衣類では何が起きている?
汗や皮脂などがわずかに残っている
衣類を収納する前に洗濯していても、汗や皮脂などの成分がすべて取り除かれるとは限りません。
衣類の臭いに関する研究では、着ている間に皮膚から移った成分や微生物、洗濯による変化などが、衣類の臭いに影響することが示されています。
そのため、衣替えで取り出した服が臭う場合も、必ずしも「収納中に新しく臭いが発生した」とは限りません。収納する前から残っていた成分が、時間がたってから気になる臭いとして感じられることもあります。
衣類に残った微生物が臭いに関係することがある
衣類には、着ている間に皮膚などから微生物が移ることがあります。こうした微生物と、衣類に付着した汗や皮脂などの成分との関係は、衣類の臭いを考えるうえで重要です。
衣類にいる微生物が、付着した成分に作用することで、臭いに関係する揮発性物質などが生じることも報告されています。
ただし、どの微生物がどの程度臭いに関係するかは、衣類の素材や洗濯条件、着用状況などによって異なります。衣類に微生物がいるからといって、必ず臭うわけではありません。
収納中の「湿気」が臭いにつながることがある
収納中の湿気は、衣類の臭いを考えるうえで無視できない要素の一つです。
水分が残ったまま衣類を密閉すると、内部に湿気がこもりやすくなります。湿気の多い環境は、微生物やカビが生育しやすくなる条件の一つです。
特に、衣類を十分に乾かさないまま収納したり、湿気の多い場所で長期間保管したりすると、衣類や収納環境に湿気がこもりやすくなります。
ただし、湿気があるだけで必ず衣類が臭くなるわけではありません。衣類の状態や素材、温度、湿度、収納環境など、いくつかの条件によって状況は変わります。
「カビ臭い」なら、カビが発生している可能性もある
衣替えした服からカビのような臭いがする場合は、収納環境や衣類にカビが発生している可能性があります。
カビは、湿度が高い環境などで生育しやすくなります。収納場所に湿気がこもった状態が長く続くと、衣類だけでなく、収納用品やその周囲にもカビが発生することがあります。
一方で、臭いだけをもとにカビの発生を断定することはできません。目に見えるカビがない場合でも、収納場所の湿気が高くなっていないか、衣類に変色や汚れがないかなどを確認することが大切です。
洗ってから収納したのに臭うのはなぜ?
洗濯してから収納した服が臭う場合もあります。これは、洗濯しただけで、衣類の臭いに関係する成分や微生物が完全になくなるとは限らないためです。
洗濯によって、臭いに関係する成分の一部は減りますが、洗濯温度や洗剤の種類などの条件によっては、微生物が十分に減らないことがあります。また、洗濯機や水などに由来する微生物が衣類に移ることもあります。
さらに、洗濯後の乾燥が不十分なまま、湿った状態が長く続くと、臭いが気になることがあります。
2025年の研究では、臭いの強い人から選ばれた31人が着用したポリエステル主体のTシャツを約30℃で洗濯し、その後、約32℃・湿度80%の環境で72時間乾燥させると、特徴的な臭いが強まり、特定の細菌が増えたとみられる結果が得られました。ただし、この実験では温度と湿度のどちらの影響によるものかは区別されておらず、一般的な家庭の衣類や収納環境にそのまま当てはまるとは限りません。また、研究から分かったのは、細菌が増えた可能性が高いということまでです。その細菌が実際に生きて活動していたかどうかは、さらに調べる必要があるとされています。
この研究は、洗濯後の衣類を乾燥させる条件を調べたもので、タンスや衣装ケースなどに収納した状態での湿気と臭いの関係を直接調べたものではありません。ただし、洗濯後の衣類を湿った状態に長く置かないことが、臭いを防ぐうえで重要であることを考える材料になります。
そのため、衣替え前の洗濯では、単に洗うだけでなく、衣類を適切に洗い、洗濯後はできるだけ湿った状態を長く続けず、十分に乾かしてから収納することが重要です。
衣替えで臭いを防ぐにはどうすればいい?
収納前に汚れを落とす
汗や皮脂などが付着した衣類を、そのまま長期間収納するのは避けましょう。
衣類の状態や洗濯表示を確認し、それぞれの衣類に合った方法で洗濯やクリーニングをしてから収納します。特に、目立つ汚れがある場合は、収納前にきちんと落としておくことが大切です。
収納する前に十分に乾かす
収納前には、衣類を十分に乾かしましょう。
水分が残ったまま収納すると、収納場所に湿気がこもりやすくなります。洗濯後は、衣類の厚い部分や縫い目なども含め、しっかり乾いていることを確認してから収納します。
衣類を詰め込みすぎない
衣類を詰め込みすぎると、収納場所の空気がこもりやすくなります。湿気が気になる場合は、収納に余裕を持たせることも対策になります。
衣類を取り出しやすくするという意味でも、収納スペースに余裕を持たせることは役立ちます。
収納場所の湿気をためない
衣類を収納する場所そのものの湿気にも注意しましょう。
必要に応じて除湿剤などを利用し、衣類を保管する場所に湿気がこもらないようにすることが大切です。収納場所の状態によっては、定期的に換気することも有効です。
収納場所と収納用品の状態も確認する
衣類だけでなく、収納場所や収納用品の状態も確認しましょう。収納する前に、タンスやクローゼット、衣装箱などを掃除しておくことも大切です。
衣類カバーを使う場合は、通気性のある不織布タイプを選ぶ方法があります。クリーニングから戻ってきた衣類は、ポリ包装を外し、風を通してから収納しましょう。
衣替えで臭いがした服はどうすればいい?
衣替えで取り出した服に臭いがある場合は、まず臭いの種類や衣類の状態を確認しましょう。
- 汗や皮脂のような臭いがする場合は、洗濯表示を確認して適切に洗濯する
- 洗濯後は十分に乾燥させる
- カビのような臭いがする場合は、衣類だけでなく収納場所も確認する
- 目に見えるカビや変色がある場合は、無理に着用せず、衣類の素材や状態に合った方法で対処する
特にカビが疑われる場合は、衣類だけを洗い直して終わりにするのではなく、収納場所に湿気やカビがないか確認することが重要です。
衣替えの臭いは「収納中だけ」が原因とは限らない
衣替えした服の臭いは、収納している間だけが原因とは限りません。
着ている間に付いた汗や皮脂、衣類にいる微生物、洗濯機から衣類へ移る微生物、洗濯や乾燥の条件、衣類の素材、収納環境など、複数の要因が関係する可能性があります。
そのため、臭いを防ぐには「収納場所の除湿だけ」を考えるのではなく、収納前に汚れを落とし、洗濯後の湿った状態を長く続けず、十分に乾かしてから、湿気がこもりにくい環境で保管することをまとめて考えることが大切です。
よくある質問
- 洗濯してから収納した服が臭うのは、洗濯が失敗したからですか?
- 必ずしもそうとは限りません。洗濯によって臭いに関係する成分の一部は減りますが、微生物は洗濯温度や洗剤などの条件によって十分に減らない場合があります。また、洗濯機や水などに由来する微生物が衣類に移ることもあり、洗濯後の乾燥条件や収納環境も関係することがあります。
- 衣替えした服がカビ臭い場合、カビが生えているのでしょうか?
- カビが発生している可能性はありますが、臭いだけでカビの発生を断定することはできません。衣類の状態だけでなく、収納場所の湿気やカビの有無も確認しましょう。
- 衣替えした服は、収納前にもう一度洗ったほうがいいですか?
- 汗や皮脂、汚れが残っている衣類は、収納前に適切な方法で洗濯やクリーニングをしておくことが大切です。ただし、すべての衣類を一律に洗い直すのではなく、衣類の状態や洗濯表示を確認して判断しましょう。
- 防虫剤を入れておけば、衣替えの臭いも防げますか?
- 防虫剤は主に衣類を害虫から守るためのもので、防虫剤だけで、臭いの原因となる汚れや湿気などの問題を解決できるわけではありません。臭いを防ぐには、収納前の洗濯や十分な乾燥、湿気対策なども必要です。
- 衣替えした服が臭ったら、収納場所も掃除したほうがいいですか?
- はい。収納場所に湿気やカビ、汚れがあると、衣類の臭いに関係することがあります。衣類だけでなく、収納場所や収納用品の状態も確認し、必要に応じて清掃や湿気対策を行いましょう。
まとめ
衣替えした服が臭う原因は、収納中に突然生まれたものだけとは限りません。収納前に残っていた汗や皮脂、衣類にいる微生物、洗濯機から移る微生物、洗濯や乾燥の条件、収納中の湿気、カビ、収納環境など、さまざまな要因が関係します。
臭いを防ぐには、収納前に汚れを落とし、洗濯後の湿った状態を長く続けず、衣類を十分に乾かしてから、湿気がこもりにくい環境で保管することが基本です。衣類だけでなく、収納場所や収納用品の状態も確認しておくと、衣替えの時期に臭いが気になるのを防ぎやすくなります。
参考文献・出典
- Van Herreweghen F, Amberg C, Marques R, Callewaert C. Biological and Chemical Processes that Lead to Textile Malodour Development. Microorganisms. 2020;8(11):1709. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33142874/
- Díez López C, Van Herreweghen F, De Pessemier B, et al. Unravelling the hidden side of laundry: malodour, microbiome and pathogenome. BMC Biol. 2025;23:40. https://doi.org/10.1186/s12915-025-02147-5
- 文部科学省「カビ対策マニュアル 基礎編」 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/003/houkoku/08111918/002.htm
- 全国クリーニング生活衛生同業組合連合会「お手入れ情報」 https://www.zenkuren.or.jp/user/keeping
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