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羊肉が臭いのはなぜ?ラム・マトンの臭みの正体と抑える方法

羊肉が臭いと感じる理由を、臭みの正体となる脂肪酸や香り成分から解説。ラムとマトンの違いや、飼料・脂肪がにおいに与える影響、臭みを抑える下処理・調理方法、傷んだ肉との見分け方も紹介します。

この記事のポイント

  • 羊肉が臭いのはなぜ?
  • 羊肉特有のにおいには、脂肪に含まれる分岐鎖脂肪酸や、3-メチルインドール、4-メチルフェノールなどの香り成分が関係しています。においの強さや感じ方は、飼料や飼育方法、脂肪の状態などによっても変わります。
  • ラムとマトンでは、どちらのにおいが強い?
  • 一般に、ラムよりもマトンのほうが羊肉特有の風味が強いとされています。ただし、においの強さは月齢だけでなく、飼料や脂肪の状態などによっても変わります。
  • 羊肉の臭みを抑えるにはどうすればよい?
  • 脂肪を適度に取り除いたり、にんにくや香辛料、ハーブを使ったりすると、羊肉特有の香りが気になりにくくなる場合があります。中心部まで十分に加熱しつつ、焼きすぎて硬くしないよう火加減を調整し、鮮度や保存状態にも気を配りましょう。

羊肉が臭いと感じるのはなぜ?

羊肉には、牛肉や豚肉とは異なる独特の香りがあります。この香りには、脂肪に含まれる分岐鎖脂肪酸や、3-メチルインドール、4-メチルフェノールなどの成分が関係しています。これらの成分が組み合わさることで、羊肉ならではの風味が生まれます。[1][2]

羊肉特有の香りは、必ずしも肉が傷んでいることを意味しません。この香りを好む人もいれば、強いにおいが苦手な人もいます。また、においの強さは肉の種類だけでなく、飼料や飼育方法、脂肪の状態などによっても変わります。[3]

羊肉の臭みの正体は何?

分岐鎖脂肪酸

羊肉特有のにおいに関係する成分の一つが、分岐鎖脂肪酸(branched-chain fatty acids)です。これは、炭素のつながりの途中に枝分かれした構造を持つ脂肪酸の総称で、羊肉の脂肪にも含まれています。

代表的な成分には、4-メチルオクタン酸や4-エチルオクタン酸などがあります。これらは羊肉らしい風味に関係する成分として研究されています。焼いた羊肉を対象とした研究では、これらの脂肪酸の濃度が高いほど、においの好ましさに対する消費者の評価が低くなる傾向が報告されました。一方、風味そのものの好みには、有意な影響が認められませんでした。[2]

3-メチルインドールと4-メチルフェノール

羊肉の風味には、3-メチルインドール(skatole)や4-メチルフェノール(p-cresol)も関係しています。これらは動物の消化管内で生じる物質などに由来し、肉の香りに影響する成分です。[2]

こうした成分は、含まれる量やほかの香り成分との組み合わせによって、動物的なにおいや好ましくない風味として感じられることがあります。羊肉特有の香りは一つの成分だけで決まるものではなく、複数の成分が組み合わさって生まれます。

脂肪の酸化によるにおいとの違い

一般に、肉の脂肪は保存中や加熱時に酸化し、別のにおい成分を生じることがあります。こうした脂肪の酸化によるにおいも肉の香りに影響しますが、羊肉特有の風味に関係する成分とは分けて考える必要があります。羊肉のにおいには複数の仕組みが関係しているため、脂肪の酸化だけですべてを説明することはできません。[4]

ラムとマトンでは臭みが違う?

一般に、ラムはマトンよりも羊肉特有の風味が穏やかで、マトンはより強い風味を持つとされています。ラムとマトンは月齢などを基準に区別される羊肉で、日本食肉消費総合センターの用語解説でも、それぞれの区分が紹介されています。[5]

ただし、ラムなら必ずにおいが弱く、マトンなら必ず強いというわけではありません。飼料や飼育方法、脂肪の量や組成なども風味に影響するため、同じラムやマトンでもにおいの強さには違いがあります。[3]

羊肉のにおいは飼料や育ち方でも変わる

羊肉の風味は、羊がどのような飼料を食べ、どのような環境で育ったかによっても変わります。飼料の違いは、肉に含まれる脂肪酸や香り成分に影響し、食べたときの風味の違いにつながることがあります。[3]

このように、飼料や飼育方法は羊肉のにおいを左右する要因の一つです。ただし、特定の飼料を与えれば必ずにおいが強くなる、あるいは食べやすくなるとは限りません。実際の風味は、肉に含まれる成分だけでなく、調理方法や食べる人の好みによっても変わります。

羊肉の脂肪が臭みの感じ方に影響する

羊肉特有の香りに関係する成分の一部は、脂肪に含まれています。そのため、脂肪の量や成分の構成は、においの感じ方を左右する要因になります。羊肉の脂肪に含まれる香り成分と、羊肉特有のにおいとの関係は、研究でも調べられています。[1]

においが気になる場合は、調理前に目立つ脂肪を一部取り除く方法があります。ただし、脂肪を取り除くことでにおいがどの程度変わるかは、肉の状態や調理方法などによって異なります。また、脂肪は肉の風味やジューシーさにも関係しているため、取り除きすぎず、料理や好みに合わせて調整しましょう。

羊肉の臭みを抑える調理方法

脂肪を取り除く、香辛料を使う、下味をつけるといった方法は、家庭で取り入れやすい調理上の工夫です。ただし、これらによって臭気成分がどの程度減るかが一律に確認されているわけではありません。肉の状態や料理に合わせて試してみましょう。

脂肪を適度に取り除く

羊肉特有のにおいが苦手な場合は、調理前に目立つ脂肪を一部取り除く方法があります。脂肪の量を調整することで香りの感じ方が変わる場合がありますが、取り除きすぎると肉のジューシーさが損なわれることもあります。風味と食感のバランスを考え、料理に合わせて調整しましょう。

にんにくや香辛料、ハーブを使う

にんにくやしょうが、こしょう、クミン、ローズマリーなど、香りの強い食材や香辛料、ハーブを使うと、羊肉特有の香りが料理全体の中で目立ちにくくなる場合があります。たとえば、カレーやスパイス炒めにしたり、ハーブを添えて焼いたりすると、羊肉の風味を生かしながら食べやすく仕上げられます。

香辛料やハーブは、羊肉に含まれるにおい成分そのものを取り除くというより、ほかの香りと組み合わせて食べたときの印象を変える方法です。好みに合わせて種類や量を調整するとよいでしょう。

下味や漬け込みを活用する

調理前に、にんにくやしょうが、香辛料、ハーブなどを加えた調味液に羊肉を漬け込む方法もあります。レシピによってはヨーグルトや酒なども使われ、風味や食感を整えるのに役立ちます。漬け込むことで香りの印象が変わることはありますが、臭みを完全に取り除けるわけではありません。

焼きすぎに注意する

加熱すると、肉に含まれる成分が変化し、香りや食感にも影響します。羊肉を焼くときは、必要以上に水分を失わせないように火加減を調整すると、肉の柔らかさを保ちやすくなります。臭みを抑えようとして長時間加熱するのではなく、肉の厚さや料理に合わせて加熱しましょう。

一方、食中毒を防ぐためには、食肉の中心部まで十分に加熱することが重要です。厚生労働省は、食肉の加熱条件として、中心部を75℃で1分間以上加熱することなどを示しています。[6]

生肉を水洗いしない

羊肉を調理前に水で洗う必要はありません。生肉を洗うと、水はねによって肉に付着した細菌が、調理器具やほかの食品などに広がるおそれがあります。気になる汚れやドリップは清潔なキッチンペーパーなどで取り除き、使用した器具や手を適切に洗浄しましょう。[7]

羊肉のにおいが強いときは食べても大丈夫?

羊肉には特有の香りがあるため、においがするという理由だけで傷んでいるとは判断できません。ただし、普段とは異なる強い酸っぱいにおいや腐敗を思わせるにおいがしたり、表面にぬめりが見られたりする場合は、食べるのを避けましょう。厚生労働省も、少しでも怪しいと感じた食品は食べずに捨てるよう案内しています。[8]

また、食中毒の原因となる細菌が食品についていても、見た目や味、においからは分からない場合があります。そのため、食品の安全性をにおいだけで判断することはできません。購入後は適切に冷蔵・冷凍し、食べる際には十分に加熱することが大切です。[9][8]

まとめ

羊肉特有のにおいには、分岐鎖脂肪酸や3-メチルインドール、4-メチルフェノールなど、複数の香り成分が関係しています。一般にラムはマトンよりも風味が穏やかですが、飼料や飼育条件、脂肪の量や組成などによっても、においの強さは変わります。

臭みが気になるときは、脂肪を適度に取り除いたり、香辛料やハーブを使ったり、下味をつけたりすると、香りの感じ方が変わる場合があります。これらは調理上の工夫であり、臭気成分を確実に取り除く方法ではありません。また、羊肉特有の香りと、傷んだ食品の異常なにおいは区別する必要があります。保存状態に注意し、食肉は中心部まで十分に加熱して食べましょう。

よくある質問

  • 羊肉のにおいが苦手でも食べやすい料理は?
  • カレーやスパイス炒め、にんにくやハーブを使った焼き料理などがおすすめです。香辛料やハーブの香りを組み合わせることで、羊肉特有の香りが料理全体の中で目立ちにくくなる場合があります。
  • 羊肉は洗ってから調理したほうがよい?
  • 生肉を水洗いする必要はありません。水はねによって細菌が周囲に広がるおそれがあるため、気になる汚れやドリップは清潔なキッチンペーパーなどで取り除き、調理器具や手を適切に洗浄しましょう。
  • 羊肉の臭みを消すために、長時間加熱すればよい?
  • 長時間加熱するだけで臭みがなくなるとは限りません。加熱しすぎると肉が硬くなったり、水分が失われたりすることがあります。料理に合わせて火加減を調整しながら、食中毒予防のために中心部まで十分に加熱しましょう。

参考文献・出典

  1. Young, O. A., Berdagué, J.-L., Viallon, C., Rousset-Akrim, S., Theriez, M. “Fat-borne volatiles and sheepmeat odour.” Meat Science, 45(2), 183–200 (1997). https://doi.org/10.1016/S0309-1740(96)00100-3
  2. Watkins, P. J. et al. “Effect of branched-chain fatty acids, 3-methylindole and 4-methylphenol on consumer sensory scores of grilled lamb meat.” Meat Science, 96(2 Pt B), 1088–1094 (2014). https://doi.org/10.1016/j.meatsci.2012.08.011
  3. Watkins, P. J., Frank, D., Singh, T. K., Young, O. A., Warner, R. D. “Sheepmeat flavor and the effect of different feeding systems: a review.” Journal of Agricultural and Food Chemistry, 61(15), 3561–3579 (2013). https://doi.org/10.1021/jf303768e
  4. Bleicher, J., Ebner, E. E., Bak, K. H. “Formation and Analysis of Volatile and Odor Compounds in Meat—A Review.” Molecules, 27(19), 6703 (2022). https://doi.org/10.3390/molecules27196703
  5. 日本食肉消費総合センター「用語集:羊肉」 https://www.jmi.or.jp/info/word/ha/ha_069.html
  6. 厚生労働省「食肉の加熱条件に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000365043.pdf
  7. 農林水産省「あふ 2022年12月号 調理編:肉は洗ってはダメ!」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2212/spe1_02.html
  8. 厚生労働省「家庭でできる食中毒予防」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00008.html
  9. 農林水産省「食中毒の予防」 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/afp2.html

運営・編集:におい展実行委員会

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