秋にカビ臭く感じるのはなぜ?夏を越した家の中でにおいに気づく理由
秋にカビ臭く感じるのはなぜ?夏の間にたまった湿気や雨漏り、結露などの水分との関係や、カビ臭の正体、確認したい場所、対処法を科学的に解説します。
秋になってから、部屋や押し入れ、クローゼットなどで「カビっぽいにおい」が気になることがあります。
秋という季節そのものよりも、室内の湿気や水分の状態が、カビ臭さを考えるうえで重要です。カビ臭には、カビなどの微生物が生育するときに出す揮発性物質や、建物の中で起こる水分の問題などが関係しています。
秋にカビ臭さを感じたときは、夏の間から湿気の影響を受けていた場所だけでなく、雨漏りや結露など、今起きている水分の問題がないかも確認してみましょう。
秋にカビ臭く感じるのはなぜ?
秋にカビ臭く感じる理由は、一つだけではありません。特に大切なのは、カビが育ちやすい湿気や水分の状態が、夏の間から続いていないかという点です。
夏の間にカビが生育していることがある
カビは、湿気のある環境で育ちます。室内でも、壁や床、家具の裏側、収納の中などに水分がたまると、カビが育ちやすくなります。
世界保健機関(WHO)は、室内に過剰な湿気があると微生物が増えやすくなり、カビの生育につながるとしています。また、湿気が続くと、建材にも化学的・生物学的な劣化が起こる可能性があります。
そのため、秋になってカビ臭さを感じても、秋になってから初めてカビが生えたとは限りません。以前から湿気の影響を受けていた場所で、カビが育っていた可能性もあります。
秋は雨や台風による水分の問題が起こることもある
秋は、地域によって雨の多い時期があります。気象庁の1991〜2020年のデータでは、東京の秋の降水量は、ほかの季節と比べて比較的多い傾向があります。また、関東甲信地方では、台風の接近数が9月前後に多くなっています。
ただし、これは秋の降水量や台風の接近についてのデータであり、秋の雨が住宅内のカビ臭を直接増やすことを示したものではありません。雨漏りなどの水分問題がある住宅では、雨が続く時期に湿気の影響が続く可能性があります。
秋にカビ臭さを感じたときは、季節だけで判断せず、雨漏りや結露などによって室内に水分が入り込んでいないか確認してみましょう。
カビそのものが「カビ臭い」の?
カビ臭には、カビなどの微生物が育つときに出す揮発性有機化合物(VOC)などの揮発性物質が関係しています。
VOCとは、常温で空気中に揮発しやすい有機化合物の総称です。真菌(カビやキノコなどの総称)が出すVOCにはさまざまな種類があり、それらが組み合わさることで、カビやキノコを思わせる特徴的なにおいとして感じられることがあります。
代表的な真菌由来VOCの一つが1-オクテン-3-オールです。この物質は多くのキノコやカビに見られ、キノコやカビに特徴的なにおいとの関係が研究されています。
カビ臭は、一つの物質だけで説明できるものではありません。また、微生物が出す揮発性物質として研究されている化合物の中には、微生物以外からも発生するものがあります。そのため、においだけで発生源を特定することはできません。
さらに、湿気による建材の劣化など、カビ以外の要因が室内のにおいに関係することもあります。
「土のようなにおい」とカビ臭は同じ?
「カビっぽいにおい」と「土のようなにおい」は似て感じることがありますが、必ずしも同じ物質が原因とは限りません。
土のようなにおいに関係する代表的な物質として知られているのが、ジェオスミンです。水道水の水質基準では、ジェオスミンについて0.00001mg/L以下という基準値が定められています。ただし、これは水道水を対象とした基準であり、住宅内のにおいの原因を判断するための基準ではありません。
ジェオスミンは、放線菌(土壌などにいる細菌の一群)やシアノバクテリア(藍藻とも呼ばれる、光合成をする細菌)などによって作られることが知られています。また、一部のカビがジェオスミンを作ることも報告されています。
たとえば、Penicillium expansum(ペニシリウム・エクスパンサム)の培養物からは、土臭くかび臭いにおいとともにジェオスミンが確認され、このにおいの主成分であることが報告されています。
そのため、ジェオスミンを「カビとは関係のない土のにおい」と単純に分けることはできません。一方で、住宅内で感じる「土のようなにおい」がジェオスミンによるものかどうかを、においだけで判断することもできません。
カビ臭がするなら、カビが増えている?
カビ臭がすることは、室内にカビなどの微生物が関係している可能性を考えるきっかけになります。ただし、においだけで、現在カビが増えているかどうかを判断することはできません。
カビが見えない場所で育っている場合もあれば、過去に生じたカビや、湿気によって建材に生じた変化などが、現在のにおいに関係している可能性もあります。
そのため、においだけを見るのではなく、湿気や水分がたまりやすい場所も確認することが大切です。
秋にカビ臭さを感じたら、どこを確認すればいい?
カビ臭さを感じたときは、においが強く感じられる場所を手がかりに、水分がたまりやすい場所を確認してみましょう。特に、次のような場所が確認ポイントです。
- 家具や収納家具の裏側
- 押し入れやクローゼットの奥
- 窓や壁に結露が起こりやすい場所
- 水回りの周辺
- 雨漏りや水漏れが疑われる場所
- 湿ったままになっている布製品や収納物
- 雨の後に特に湿気が強くなる場所
壁や床の湿り、シミ、結露などが見つかった場合は、においだけを消そうとするのではなく、水分が発生している原因を確認することが大切です。
カビ臭いと感じたら、どう対処すればいい?
カビ臭さに対処するときは、香りでにおいを隠すよりも、湿気や水分の原因を確認して取り除くことが基本です。
- カビ臭さが強い場所を確認する
- 結露、水漏れ、雨漏りなどの水分問題がないか確認する
- 湿った布製品や収納物があれば乾燥させる
- 室内の湿気が高い場合は、状況に応じて換気や除湿を行う
- カビが広い範囲に発生している場合や、建物の水漏れが疑われる場合は、専門業者などへの相談を検討する
換気や除湿は室内の湿気を減らすのに役立ちますが、雨漏りや水漏れなどの原因が残っていれば、においの問題が繰り返されることがあります。
まとめ
秋にカビ臭く感じる場合、重要なのは季節そのものよりも、室内の湿気や水分の状態です。カビ臭には、カビなどの微生物が出す揮発性物質や、湿気による建材の変化などが関係することがあります。
秋は地域によって秋雨前線や台風の影響で雨が多くなる時期があります。気象庁の1991〜2020年のデータでは、東京の秋の降水量は比較的多く、関東甲信地方では台風の接近数が9月前後に多くなっています。ただし、これらの気象データだけから、秋に住宅内のカビ臭が増えるとは判断できません。
秋にカビ臭さを感じたときは、夏の間から湿気の影響を受けていた場所や、雨漏り・結露など現在の水分問題がないかを確認しましょう。においを消すだけでなく、水分の原因を取り除くことが、カビ臭への対処につながります。
よくある質問
- 秋になると必ずカビ臭くなるのですか?
- いいえ。カビ臭さは季節だけで決まるものではなく、室内の湿気や水分の状態、カビなどの微生物の生育状況などによって変わります。
- カビ臭がするのに、目に見えるカビがありません。なぜですか?
- カビが見えない場所で育っている場合や、建材などに生じた変化がにおいに関係している場合があります。においだけで原因を特定することは難しいため、水分や湿気がたまりやすい場所を確認してください。
- カビ臭さは消臭剤で消せますか?
- 消臭剤によって一時的ににおいを弱められる場合はありますが、湿気や水分などの原因が残っていれば、再びにおいを感じることがあります。まずはカビ臭の発生源や水分の問題を確認することが大切です。
参考文献・出典
- World Health Organization. WHO guidelines for indoor air quality: dampness and mould. 2009. https://www.who.int/publications/i/item/9789289041683
- Inamdar AA, Morath S, Bennett JW. Fungal Volatile Organic Compounds: More Than Just a Funky Smell? Annual Review of Microbiology. 2020;74:101-116. https://doi.org/10.1146/annurev-micro-012420-080428
- 気象庁「季節ごとの平年の天候についてのコラム『秋の降水』」 https://www.data.jma.go.jp/cpd/j_climate/kanto_koshin/TenkouKaisetsuHeinenColumn3_Kanto-Koshin.html
- 厚生労働省「水質基準に関する省令」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=79aa4934&dataType=0&pageNo=1
- Mattheis JP, Roberts RG. Identification of geosmin as a volatile metabolite of Penicillium expansum. Applied and Environmental Microbiology. 1992;58(9):3170-3172. https://doi.org/10.1128/aem.58.9.3170-3172.1992
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