頭皮が臭いのはなぜ?においの原因と発生する仕組みを解説
頭皮が臭くなるのはなぜ?皮脂や汗、フケ、頭皮にすむ微生物など、においが発生する原因と仕組みを解説。毎日洗っているのに臭う理由や、頭皮のにおいを抑えるための基本的なケア、受診の目安も紹介します。
頭を洗ったばかりなのに、時間が経つと頭皮から嫌なにおいがする。そんなときは、皮脂や汗、フケ、頭皮にすむ微生物、ヘアケア製品など、いくつかの要因が重なっていることがあります。
頭皮のにおいは、皮脂や汗そのものだけで決まるわけではありません。皮脂に含まれる成分が時間とともに変化したり、皮膚にすむ微生物が皮脂などを分解したりすることで、においを感じる成分が生まれます。さらに、フケやかゆみ、赤みなどがある場合は、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)などの皮膚トラブルが関係していることもあります。
この記事では、頭皮が臭くなる原因とにおいが生まれる仕組み、毎日洗っていてもにおいが気になる理由、日頃のケアについて分かりやすく解説します。
頭皮が臭くなる主な原因
頭皮のにおいには、主に次のようなものが関係しています。
- 皮脂の成分が酸化したり、別の物質に変化したりすること
- 汗によって頭皮が蒸れ、皮脂などの影響を受けやすくなること
- 皮脂やフケ、古い角質が頭皮にたまること
- 頭皮にすむ微生物が皮脂などを分解すること
- フケやかゆみを伴う皮膚トラブル
- シャンプーやスタイリング剤などが髪や頭皮に残ること
これらは別々に起こるというより、互いに影響し合っています。たとえば、汗で頭皮が蒸れると皮脂やフケがたまりやすくなり、そこに皮膚の微生物による働きなどが加わることで、においを感じやすくなることがあります。
頭皮のにおいに関係する「皮脂」
頭皮には、皮脂を分泌する皮脂腺が多くあります。皮脂には皮膚を守る大切な役割がありますが、分泌された後に成分が変化すると、においに関係することがあります。
皮脂そのものがそのまま嫌なにおいを発するというより、皮脂に含まれる成分が酸化したり、化学反応を起こしたり、微生物によって分解されたりすることで、においを感じる成分が生まれます。
近年の研究では、人の体臭に含まれる特徴的なにおい成分の一部について、皮脂に含まれる「におい成分になる前のもととなる物質(前駆物質/ぜんくぶっしつ)」から、皮膚の微生物が関わらない反応によって生じるものがあることも分かってきました。つまり、皮脂の変化そのものも、においを生む大切な要素の一つです。
皮脂は時間とともに変化する
皮脂は分泌された後も、ずっと同じ状態でとどまっているわけではありません。皮脂に含まれる油分は、空気中の酸素などに触れることで酸化することがあります。
その代表的な成分の一つが、皮脂に含まれる油分の一つであるスクワレンです。スクワレンは酸化を受けやすく、頭皮の状態との関係も研究されています。
2016年の研究では、フケのある頭皮でスクワレンの酸化が進んでいることが確認されました。ただし、この研究が示したのはスクワレンの酸化とフケの状態との関係です。スクワレンの酸化が頭皮の嫌なにおいを直接生み出すことまで確認されたわけではなく、頭皮のにおいにはほかの要因も関わると考えられます。
頭皮にすむ微生物もにおいに関係する
頭皮を含む皮膚には、細菌や酵母(こうぼ)など、さまざまな微生物がすんでいます。こうした微生物の集まりを「皮膚マイクロバイオーム」と呼びます。
皮膚に微生物がいるのは自然なことです。頭皮にもさまざまな微生物が暮らしており、その種類や構成は、皮脂腺や毛穴の状態、年齢、生活環境などによって変わります。
微生物の中には、皮脂に含まれる成分を分解して利用するものがあります。そのときに生まれる物質の一部が、皮膚のにおいに影響します。
そのため、頭皮のにおいを考えるときには、皮脂の量だけでなく、皮脂の成分がどのように変化するか、そして頭皮にすむ微生物がどのような働きをするかを見ることが大切です。
「マラセチア」が頭皮のにおいの原因になる?
頭皮のにおいについて調べていると、「マラセチア」という名前を目にすることがあります。
マラセチア(Malassezia)は、健康な人の皮膚にも普通にすんでいる酵母の一種です。皮脂を利用する性質があり、皮脂に含まれる脂質(トリグリセリドなどの中性脂肪の一種)に作用して、脂肪酸を生じさせます。
こうしたマラセチアの働きは、脂漏性皮膚炎などの頭皮の状態と関係すると考えられています。ただし、脂漏性皮膚炎はマラセチアだけで決まるものではありません。皮脂の量や皮膚のバリア機能、炎症など、いくつかの要素が重なって起こります。
フケやかゆみがあるなら「脂漏性皮膚炎」の可能性も
頭皮のにおいに加えて、フケやかゆみ、赤みなどが気になる場合は、脂漏性皮膚炎が関係している可能性があります。
脂漏性皮膚炎は、頭皮など皮脂腺の多い場所に起こりやすく、良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚炎です。原因は一つに決まっておらず、皮脂、マラセチア、皮膚のバリア機能、炎症反応などが関係すると考えられています。
そのため、フケやかゆみがあるときは、皮脂を落とそうとして頭皮を強くこするよりも、頭皮への刺激を抑えながら状態を整えることが大切です。
フケやかゆみ、赤みが続いている場合は、においだけでなく頭皮そのものの状態にも目を向けてみましょう。
毎日洗っているのに頭皮が臭いのはなぜ?
毎日シャンプーをしていても、頭皮のにおいが気になることはあります。頭皮のにおいは、洗髪の回数だけで決まるものではなく、皮脂の量や頭皮の状態、汗、使用する製品なども関係するためです。
一方、洗髪によって頭皮表面の皮脂やフケなどを洗い流すことは、においを抑えるうえで大切な方法の一つです。
洗髪する回数と頭皮のにおいの関係を調べた研究があります。この研究では、普段は週2回以下しか髪を洗っていなかった健康な成人60人に、まず7日間シャンプーを使わずに過ごしてもらい、その後、抗フケ成分のジンクピリチオンを含むシャンプーを使って4週間毎日洗髪してもらいました。その結果、毎日洗髪するようになると、頭皮の皮脂やフケが減ったほか、皮脂が酸化した状態を示す指標や、専門家が確認した頭皮のにおいも少なくなっています。
この結果から、普段あまり髪を洗わない人では、洗髪する回数を増やすことで頭皮のにおいが抑えられる可能性がうかがえます。ただし、この研究の対象は中国・西安市の健康な成人で、その9割以上が女性で、使用するシャンプーも指定されていたため、すべての人に同じ結果が当てはまるとは限りません。さらにこの研究は、「シャンプーを使わない期間」と「指定されたシャンプーで毎日洗う期間」を比べたものなので、においが減った理由が洗髪の回数によるものなのか、シャンプーに含まれる成分の影響なのかは、この研究だけでは切り分けられません。
髪質、頭皮の状態、使用する製品、生活環境などによって、適切な洗髪方法は異なります。大切なのは「毎日洗う」という回数だけにこだわるのではなく、自分の頭皮の状態を見ながら洗髪方法を調整することです。
汗も頭皮のにおいに影響する
汗も頭皮のにおいに関係する要素の一つです。汗そのものだけでなく、汗によって頭皮が湿った状態になることで、皮脂や皮膚表面の成分、微生物などの影響を受けやすくなります。
特に、暑い日や運動後などに頭皮が長時間蒸れていると、においを感じやすくなることがあります。帽子を長時間かぶっているときも、頭皮に熱や湿気がこもりやすくなります。
汗をかいたときは、タオルなどで汗を拭き取り、頭皮が蒸れた状態を長く続けないようにするとよいでしょう。
頭皮ではなく「髪」が臭っていることもある
頭から嫌なにおいがするとき、原因が頭皮にあるとは限りません。髪そのものににおいが付いているケースもあります。
髪には皮脂や汗、ヘアケア製品などが付着します。また、料理やたばこ、周囲の空気などに含まれるにおい成分が髪に付着することもあります。
そのため、「頭皮からにおっている」と思っていても、実際には髪に付いたにおいを感じている場合があります。頭皮と髪のどちらからにおっているのかを分けて考えると、原因を見つけやすくなります。
頭皮のにおいを抑えるための基本的なケア
頭皮のにおいが気になるときは、まず頭皮を清潔に保ち、汗や湿気を長時間残さないことが基本です。
自分の頭皮に合った頻度で洗う
シャンプーをするときは、髪だけでなく頭皮を洗うことを意識しましょう。指の腹を使ってやさしく洗い、爪を立てて強くこすらないこともポイントです。
洗髪の回数は、頭皮の状態を見ながら調整します。皮脂や汗が気になる人、頭皮が乾燥しやすい人など、それぞれに合った洗い方を考えることが大切です。
シャンプーをしっかり洗い流す
シャンプーやコンディショナーを使った後は、頭皮に残らないよう十分にすすぎましょう。特に、生え際や耳の周り、後頭部はすすぎ残しが起こりやすい場所です。
洗髪後は頭皮まで乾かす
髪を洗った後は、タオルで水分を拭き取り、ドライヤーで頭皮まで乾かしましょう。濡れたまま長時間過ごすと、頭皮が蒸れた状態になりやすくなります。
汗をかいた後は蒸れを避ける
運動した後や暑い場所で汗をかいたときは、汗を拭き取るなどして頭皮をできるだけ快適な状態に保ちましょう。帽子を使う場合も、長時間蒸れた状態が続かないようにします。
ヘアケア製品の使い方を見直す
ヘアオイルやスタイリング剤などは、髪を整えるために役立つ一方、使い方によっては髪や頭皮に残ることがあります。においが気になるときは、使用量や付ける場所を見直してみるのも一つの方法です。
頭皮が臭いから「不潔」…とは限らない
頭皮からにおいがすると、「きちんと洗えていないのでは」と気になるかもしれません。しかし、頭皮のにおいには皮脂や汗、皮膚の微生物、ヘアケア製品、頭皮の状態など、さまざまな要素が関わっています。
そのため、毎日きちんと洗髪している人でも、時間が経つとにおいを感じることがあります。
においが気になるときは、洗髪の回数を極端に増やしたり、頭皮を強くこすったりするよりも、皮脂や汗の量、フケやかゆみの有無、髪に付いたにおいなどを含めて原因を考えることが大切です。
においとともに症状がある場合は皮膚科へ
頭皮のにおいが続き、次のような症状も見られる場合は、皮膚科などの医療機関に相談しましょう。
- フケが急に増えた
- 頭皮に強いかゆみがある
- 頭皮が赤くなっている
- 湿疹やかさぶたがある
- 頭皮から分泌物が出る
- 普段のケアを続けても症状が改善しない
こうした症状には、脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患が関係していることがあります。においだけを抑えようとするのではなく、頭皮に起きている変化を確認し、必要に応じて治療を受けることが大切です。
まとめ
頭皮のにおいには、皮脂や汗、フケ、皮膚にすむ微生物、ヘアケア製品など、さまざまな要素が関係しています。
特に皮脂は、時間とともに酸化したり、微生物によって分解されたりすることで、においに関係する成分を生じることがあります。また、フケやかゆみ、赤みなどがある場合は、脂漏性皮膚炎などの皮膚トラブルが関係していることもあります。
頭皮のにおいが気になるときは、自分の頭皮に合った方法で洗髪し、すすぎ残しや長時間の蒸れを避けることから始めてみましょう。それでもにおいが続いたり、フケやかゆみなどの症状があったりする場合は、皮膚科などの医療機関に相談することをおすすめします。
頭皮のにおいに関するよくある疑問
- 頭皮は朝は臭くないのに、夕方になると臭うのはなぜですか?
- 時間が経つにつれて皮脂や汗などが頭皮にたまり、皮脂成分の変化や微生物の働きなども加わることで、においを感じやすくなることがあります。帽子などによる蒸れが影響する場合もあります。
- 頭皮のにおいが気になる場合、毎日シャンプーしたほうがよいですか?
- 洗髪の頻度は、頭皮の状態に合わせて考えることが大切です。普段あまり髪を洗わない人を対象にした研究では、指定されたシャンプーで毎日洗髪することで、頭皮のにおいなどが低下した例があります。ただし、対象者や使用したシャンプーなど条件が限られた研究なので、自分の頭皮に合った洗髪方法を選びましょう。
- 頭皮が臭く、フケやかゆみもあります。どうすればよいですか?
- フケやかゆみ、赤みなどが続く場合は、脂漏性皮膚炎などの皮膚トラブルが関係している可能性があります。洗髪方法を見直しても症状が続くときは、皮膚科に相談しましょう。
参考文献・出典
-
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https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8138261/
本研究はProcter & Gamble社から研究費の全額提供を受けており、著者のうち2名が同社の社員です。
- Jourdain R, et al. “Exploration of scalp surface lipids reveals squalene peroxide as a potential actor in dandruff condition.” Archives of Dermatological Research. 2016;308(3):153-163. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26842231/
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- DermNet. “Malassezia infections.” https://dermnetnz.org/topics/malassezia-infections
- Cleveland Clinic. “Smelly Scalp: Causes, Shampoos & At-Home Treatments.” https://my.clevelandclinic.org/health/symptoms/24751-smelly-scalp
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